保険金詐欺というフレーズはニュースでも耳にすることはありますが、ゴルフ保険の詐欺というのは、あまり聞きなれないでしょう。このゴルフ保険詐欺、どのように行なわれ、どのようにバレたのでしょうか。
ゴルフ保険が提供されるようになった日本独自の習慣と、ゴルフ保険詐欺の事例を紹介していきます。
一生に一度あるかないか。ゴルフをプレイしていると、一度は経験してみたいホールインワンですが、その後に待っている支出を考えると、少し身震いするプレイヤーもいるのではないでしょうか。しかしゴルフをプレイしない方にとっては、ホールインワンを祝う習慣は不思議に見えるかもしれません。まずはそんな習慣についてお伝えしましょう。
ゴルフ競技大会やコンペなどでホールインワンやアルバトロスを達成した際に、宴会や参加者全員に記念品を贈呈し、盛大に行なう習慣があります。
さらにこれらの出費は、ホールインワンやアルバトロスを出した当本人が支払うのです。額にして数万円は下らず、数十万にものぼるケースも珍しくありません。
この習慣は外国で生まれたものではなく、日本で高度経済成長~バブル期に定着したと考えられています。この習慣が知られることによって、ホールインワン保険が生まれることになりました。
現在提供されているゴルフ保険は、このホールインワンの祝賀会記念品に伴う出費を補てんする以外にも、プレイ中のケガや事故を補償する目的の基、多くのゴルフプレイヤーの安全・安心を担っている保険といえるでしょう。
ですが、この独自の習慣と保険を悪用して、詐欺を行なう者も出てきたのです。
2014年の5月に行なわれたホールインワン詐欺事件についてご紹介します。
ゴルフ仲間である男性3人が、ゴルフプレイ中にホールインワンを達成したように装い、ゴルフ保険の補償内の一つに該当する保険金100万円を騙し取る事件が発覚しました。ホールインワンを達成した人に加え、他の2人がホールインワンを達成したとする証明書に署名し、保険会社に虚偽の申請を行なったのです。
男性たちは、他にも同様に虚偽のホールインワンを作り上げ、複数の保険会社からゴルフ保険をだまし取っていたことも分かり、逮捕されています。
ゴルフ保険を運営する保険会社には、ホールインワンを達成した人がご祝儀として支出する飲食費や記念品代として架空の領収書を提出。
事件の管轄である、愛知県名古屋・中警察署によると、保険会社から「同様の状況において、ホールインワンを達成した」という請求を受けたという情報提供をきっかけに、逮捕へと繋がりました。
スポーツマンシップから大きく外れた行ないに、ゴルフププレイヤーからは大きな反発を生んだでしょう。
ホールインワン保険の認定基準は保険会社によってさまざまですが、特に第三者の目撃情報が必要になるケースがあります。そのため同じ組を回っている同伴者の証言は認められず、証明書としては無効扱いされます。
ホールインワン保険が認められるケースとしてキャディや無関係の前後のプレイヤー、そのゴルフ場に遣える造園業者、または使用人の目撃証言が必要な場合がほとんど。また、保険会社では、ホールインワンを達成した人、一緒にプレイしていた人、達成したゴルフ場などの補償が適用された条件を共有しているため、関連する相関関係は簡単に紐づけられるようです。
やっぱり悪いことはすぐにバレてしまいますが、いつ来るか分からないホールインワンには備えておきたいですね。